i字系とは?~使い方・タイミング・おすすめルアー~
- 1. i字系とは
- 2. i字系の誕生
- 3. i字系使用のコツ
- 4. i字系ルアーの使用タイミング
- 5. i字系オススメルアー
- 6. まとめ
1. i字系とは

バス釣りにおけるi字とはリップレスの小魚を模したルアーを限りなく波動を抑えながら、「I(アイ)」の字を描くようにまっすぐに泳がせる技法のことを言います。「本当にこれで釣れるの?」と思うほど動きが乏しく感じられますが、実は本物の小魚はあまり体を大きくくねらせずにまっすぐ泳いでいるものです。i字系はそんな小魚の自然な泳ぎを演出し、バスに警戒心を与えないナチュラルな魅力が特徴です。
一般的にルアーは派手に泳いだり振動を出したりしてバスにアピールするものですが、i字系ルアーは意図的に「動かない」ことで、プレッシャーの高い状況下でもバスに見切られにくくしています。何もしないことが逆に武器になるのがi字系ルアーなのです。
2. i字系の誕生
i字系テクは2007年頃、「S字系」の流行を受けて名付けられたジャンルですが、そのルーツは2000年代初頭にまで遡ります。当時、デプス社のワーム「デスアダー」を使い、ノーシンカーで表層をただ引くだけでバスが釣れるという新しい釣法が発見され、徐々にその釣果が認められていきました。
当初はワームのフックセットや引き方に繊細な調整が必要で一部の上級者だけが使いこなせる釣法だったものの、2019年頃になると専用のハードルアーが各メーカーから発売され、誰でも扱いやすい手法として人気が急上昇。現在では各メーカーが次々と新製品を投入し、「不自然な動きを一切しない」i字系は日本のバスフィッシングの主流テクニックの一つとして定着しています。
3. i字系使用のコツ
i字系は「直線的に引くだけ」と一見簡単に見えますが、実際にはルアーの姿勢が崩れないように気をつけながらリールの巻き速度を一定に保つことや、ラインの張りを適度に保つことが難しいとされています。しかしそれらが釣果を上げるための重要なポイントとなりますので必ずマスターしましょう。
加えてi字系を上手く使用していくためにはフィールドの状況を選んでいく必要があります。例えば風が強い日や流れのあるエリアでは、i字系用ルアーはサイズが小さく軽量なものが多いため、遠投しにくかったりルアーが思うように動かせなかったりと難易度が上がります。また魚を寄せる力自体は弱いので、バスが散っているときや居所がわからない時には不適です。
i字系の魅力が最大限発揮できるよう、凪な状態なのか?バスのポジションが絞れているか?などi字系が効く場面かどうか見極めましょう。
4. i字系ルアーの使用タイミング
前項でi字系は特定のシーンで効果を発揮するテクであることに触れました。実際にどのような場面での使用が効果的なのか考えていきます。
①水がクリアな時、バスがスレてタフな時
i字系は特に水質がクリアなフィールドや無風で水面が鏡のようなコンディションで威力を発揮します。透明度が高く視界が良い状況では、バスはルアーの不自然な動きに敏感で、少しの違和感で見切られてしまいます。そこでi字系の「スローリトリーブで直線的に引くだけ」というナチュラルで不信感を与えない動きが効いてくるのです。
②バスの体力が落ちている時
i字系の特徴は、「ただまっすぐ泳ぐだけ」というシンプルな動きにあります。多くのルアーが大きなアクションや振動を使ってバスにアピールするのに対し、i字系ルアーは敢えて自発的な動きを抑え、静かでナチュラルなアクションをします。例えばアフタースポーニングなどバスの食欲はあるけれど、元気なベイトを追いかける気力は無いといったシーンでバスの前に通してやれば簡単に食える獲物だと反応してくるでしょう。
③バスがベイトを待ち伏せしている時
体力の落ちたバスたちはウィードの中で休みながらベイトたちが通りかかるのを待ち伏せしています。例えば初夏においてはバスもアフターで回復を目指すタイミングにあたるので、ちょうどその時期に産卵で疲れ切っているブルーギルをバスは障害物の隙間に隠れながら待ち構えます。また、秋のベイトフィッシュパターンにおいてはワカサギといった小魚をバスたちは狙っているのです。
障害物で獲物を待ち伏せしているバスは、ルアーの動きをよく観察しているので見切られないようにi字系のナチュラルさが必要となります。バスのベイトを意識したルアーをチョイスしていきましょう。
5. i字系オススメルアー
5.1. ベーシック編
まずi字系初心者に使っていただきたいのがジャッカルのナギサ65SP。一般的な小魚型のi字系ルアーで、後部フックに安定板が付いており、どんな速度でもブレない直進性を確保しています。クリア素材のテールも相まって、バスに違和感を与えずにバイトに持ち込めます。i字系ハードプラグのパイオニアであるジャッカルの安定感のあるスタンダードルアーです。
なるべくバスから距離をとって人間の気配を消しながら釣りたい時に最適なのがイマカツのiアロー。軽めのルアーが多くキャスタビリティに難点のあったi字系でも遠投を可能にしています。長距離をチェイスさせてバイトに持ち込むのが基本のi字系において、見切りに繋がる誤操作を減らし直進性を高めるスタビライザーを搭載しているのも魅力です。
5.2. ワーム編
よりタフな環境ではボディが柔らかく食わせの能力が高いワームを使ったi字系の釣りに挑戦するのも一手です。しかし繊細なセッティングが必要で、一見して気づかないようなリギング(フックの仕掛け)のほんの少しの曲がりやねじれが支障をきたすため非常に神経を使います。それでもルアーのナチュラルさはハードに比べて高いので食わせの力をより重視するシーンで取り入れられるよう用意しておくと幅が広がるでしょう。
i字系の本家であるデプスのデスアダーは、より簡単に扱えるi字系ハードプラグが登場しても尚人気が高いワームです。水面をV字に割るように軌跡を描きながら泳ぎ、無駄な波を立てないシンプルでナチュラルさが特徴。ブレをなくすために「縫い差し」でのセッティングがオススメです。
ジャッカルのドリフトフライはミドスト&ホバストでの使用が有名ですがリップをカットすることでi字系にも使えるワームとなっています。流れのある川では、あえて重りを付けずに漂わせるように流し、弱った小魚が流されている様子を演出してみましょう。
5.3. 発展編
一定の速度で波動を抑えながら巻いてくるのがi字系でしたがその発展編で少々アクションを加えることもあります。バスがi字系の動きに慣れてしまっているなどしたときにアクセントとなる動きが効いてきます。
メガバスのカラシIGXは2022年に登場した新世代i字系ルアーで、従来のi字系が「完全ノーアクション」であるのに対し、カラシIGXは弱った小魚のように微かにフラつく動きを取り入れています。実際の弱った小魚の動きを追究していった結果行き着いた究極のi字系と言えるかもしれません。
アングラーの手で敢えてアクションを入れる応用テクもあります。スリムな小魚型のデプスのワカサギベイトはボディのホログラムが煌めき存在感があるのでお腹の空いているバスたちにとって魅力的獲物に見えるはず。バスに見つかったらトゥイッチを入れるなどすることでi字系の動きとはメリハリを付けて、捕食本能を刺激してやると良いでしょう。
特定のベイトに近い姿のルアーを選択してi字系の動きを見せていくことも効果的です。アフターのバスが狙うのは産卵期のブルーギル。まさに本物のブルーギルから模った超リアルな見た目のT.H.タックルのゾーイはスローで見せても見切られる心配がありません。ラバースカートはバスへのアピールはもちろんですが、前進しようとする力を抑えるブレーキの役割も担っているので、身体をバタバタと揺らすことなく移動距離を抑えてくれます。ゾーイをi字系アクションで泳がすことで、産卵に疲れたブルーギルと見間違えたバスが食いついてくるでしょう。
6. まとめ
ここまで敢えてアクションを抑えたi字系とはどのような釣りなのか解説してきました。
使用するタイミングは以下の3つに分けられました。
- ①水がクリアな時、バスがスレてタフな時
見切られないためのナチュラルさが求められる - ②バスの体力が落ちている時
バスが食いやすい弱った小魚を演出 - ③バスがベイトを待ち伏せしている時
時期に合わせたベイトを意識しじっくり見られても見切らせない
特にi字系自体にはバスを寄せる力自体は低いためある程度バスの居所が抑えられているシーンで使用していきましょう。
そしてi字系に適したルアーは様々発売されています。
- ①初心者にはi字系ハードルアー
・ジャッカル:ナギサ65SP
・イマカツ: iアロー - ②高難度だがナチュラルさ抜群のワーム
・デプス:デスアダー
・ジャッカル:ドリフトフライ - ③発展的i字系ルアー
・メガバス:カラシIGX
・デプス:ワカサギベイト
・T.H.タックル:ゾーイ
コツは必要ですが取り入れればきっと助けになってくれるはずです。ぜひ挑戦してみてください。